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2度目の2025スキーニューモデル試乗会

来シーズンの板を何にするか決めかねて、3/10の別の試乗会に参加してみた。

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久々、大好きなブランシュたかやま。
寒気の影響で、ハイシーズン並みのコンディションとなった。

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薄く積もった雪の下には、ハードパックされた下地斜面が広がり
きちんと手入れされたエッジで縦に切れ込むと、綺麗に噛んでくれるコートは、試乗にうってつけとなった。
前回のシャバ雪での菅平より幾分速く、だいたい60キロ代のスピード域で、色々と試してみた。
2月の菅平での試乗会では、家族もいたので大急ぎでの試乗だったが、今回は一人なので、良い雪質でじっくり考察しながら乗り込んでみた。

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【HEAD WC rebels e-Race pro】 (170cm)

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前回気に入った、この子からスタート。
やっぱいいね。
堅目の斜面でも難なくエッジが噛んでくれる。
トップとテールが雪面を強く捉え、ハリの強い板が撓んで作られる安定した足場を感じて、内傾角を大きく作れる。
谷回りで捉えたトップが、中盤以降、内側へ入りすぎない→ターン後半でテールが山側へ引っ張りすぎずにリリースできる。
そして撓み返しのタイミングもちょうど良く、反発をもらいながら次のターンへ入っていけるので、切り替えで加速できているような感じを得られる。

ただ、この時は気づかなかったけど、他の様々な板に乗った後では、もう少しシャープさがあると良いと思った。で、出品目録みたら乗ったのは170なんだよね。165だともう少しシャープなのだろうか?
それとも、よりシャープさを求める人にはe-SL EVOなのかな?
ただそれだと僕は撓ませられない。

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【BLASTRACK ELIXIR L】

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眉間に皺を寄せ、角を立ててカービングするのではなく、面を使って柔らかく踏んでやると、板がやさしく応答してくれる。
いい意味で足元の軽さが際立つスキー。
体重移動を大きくゆっくり、ソフトタッチでしてあげると素直に板が動いてくれた。
速さや内傾角の深さなどを追求するのではなく、ゲレンデの雪と対話しながらメローに滑るスキー。
春のかぐらや奥只見なんかで、仲間とワイワイやりながら、この板を履いて、薄着で滑ったら楽しいだろうなぁと思った。

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【Bluemoris S-POTION Ltd】

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初めてのブルーモリス。
ビックリ。
これは良かった。
選手用の硬い板だというが、確かに強い、しかしちゃんと撓んでくれる。
撓んでくれるが、撓み切る事なくまだまだ余力を残した撓み方で、安心して全力で踏みにいけ、足場を作れる。
反発はマイルドだが非常に力強く撓み返してくれる。
その撓み返しのタイミングが絶妙で、乗り手の挙動に非常にシャープに反応してくれ、それがまた決して敏感すぎる感じではなく、いい感じで返ってきてくれる。
そんな感じで、このスキーは様々な相反する要素を高次元で調和させていて、懐の深さを感じる。
谷回りに入ろうとするとトップが素早く雪面を捉え、ショートターンで上から次のターンに入りたい時は、テールがしっかり効いて山回りを仕上げてくれる。ミドルorロングターンで次ターンを谷に落としていきたい時は、テールがスゥッと抜けて、ニュートラルを高速で駆け抜けてくれる。
全体にシットリ・どっしりとした乗り味の中で、この抜け感と走りが超絶気落ちいい。
板が勝手に走るんじゃなくて、走らせたいタイミングでビュンと走ってくれる、素直でプレーンな加速感がとても良い。
トップの捉えが早いけれど、内に入って来ようとし過ぎないから、こちらの思う通りにテールに仕事をさせられるので、走らせるタイミングを操りやすい。
これだけナチュラルに操作できると、不整地もけっこういけそう。
まぁ、実際はこれだけ強い板だと、僕の脚前では発射しちゃうかもだけど、チャレンジしたくなる。
乗っていてとても楽しく、また僕にとっては自分の限界値を少し引き上げてくれそうな板。
強さという鎧の中にしなやかさを内包したスキー。

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【STOCKLI  LASER SX】

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初ストックリー。
スイスの板で、W杯でも活躍するメーカーなので、強くて硬いのかと思っていたが、この板は非常にマイルドな乗り味で、ユーザーフレンドリーな印象。
とても柔らかく、板の反発が殆ど感じられない。
2級受験者くらいから使えるし、シニアにも良いかもしれない。
面白いのは、こんなに優しいのに、スネ圧を少し強めに、上体もほんの少し前傾してやると板が撓み、ターンを走らせられる事。
ミドルターンモデルなのでトップが内に入ってこない+板の反発がないので、カービング系のショートターンは全てマニュアル操作になり、少し難しさがあるかも。
優しい感じの板だけれど、意外にスピードを出しても安定している。

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【Bluemoris S-POTION】

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S-POTION Ltdがとても良かったので、もう一つあった黒いS-POTIONにも乗ってみた。
これは継続モデルで、板の作りもプレートもLtdと違うとの事。板自体のフレックスもLtdより柔らかくできているらしく、プレートもセパレートプレートなのよね。
こちらが一般上級者用との事なので、コブ使用なども考えれば、
こっちの方が実用的かと思って試乗してみた。
とはいえ、これも十分に強い。
板の味付けはLtdと同じ。強いけど撓む。俊敏に動かせるが安定感がある。強い板がグッと撓んでビュンと走る。いいね。
言われてみれば、こちらの方が少し足元の柔らかさがあるかもしれないが、十分に強く足場感も頼もしい。
そしてトップとテールが、乗り手の意思・動きにあわせて仕事をしてくれる。
このスキーも完成度高い。
ただ、今日のような最高なコンディションで、硬めのハードパックされた中斜面で思いっきりカービングすると、撓み戻しの挙動の中で、Ltdよりも僅かに詰まる感じがあったのと、トーションの差を少し感じた。トーションの設計が同じだとしたら、フレックス量の違いによって、挙動に微妙な変化があるのかも。
その辺がLtdとの違いなのだろう。
これも非常に良い板なのだが、Ltdに乗ってしまうと、Ltdの方が、強く且つしなやかで、ナチュラルでありながら気持ちよく走るという点で、何枚か上手な感じがする。
Ltdが良すぎるのだ。

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【オガサカ TC-S】  (SRプレート)

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これも良かった。
履いてみると、トップが短く感じる。
乗り味はケオッズよりも粘りがあってシットリ、それでいて選手用の重たさや気難しさはあまり感じさせず、操作性の高さはケオッズと同等。
乗り手に何でもできると錯覚させてくれる。
エッジングの強さは主張しないのだが、シャープに、そして確実に雪面を捉えて切っていく印象。
清涼感にも似た走り・・・そんな感じを受ける。
来年からTC-Mシリーズがなくなってしまうが、このTC-Sはミドルターンも充分に対応できるし、何ならロングターンまでタップリ引っ張ってもストレスを感じない、汎用性の高さ、オールラウンド性がある。
ターン始動では素早くトップが雪面を捉え、板がフォールラインを向くと、そこから先は内に入りすぎる事はなく、板のセンターが滑らかに雪を切って走ってくれる。ターンの仕上げはテールが乗り手の意思を尊重して仕事をしてくれる。
エッジングの感触は「喰いつく」という感じではなく、「気がつけば捉えている」という感じ。
板の走りも、ビュンと走るというよりも、気がつけば走っているという感じ。
とにかく全てがスムーズに、流れるような挙動で行える。
強過ぎず弱過ぎず、とても素直で使いやすい。
ズレとキレの使い分けも、非常に解像度高く、精緻でシームレスに行き来できるように感じた。
他メーカーが4Kなら、この板は8Kとか16Kのレベルで、精緻な操作ができそうな感じ。
自分の足裏のセンサーが増えた感覚さえ覚える。
試乗したのはSRプレートという強いプレートが着いている仕様だが、僕レベルの標準的な脚力でも、全く問題なく使いこなせる優しさも持ち合わせている。
完成度、高い。

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【HEAD Supershape e-Speed】

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とてもマイルドで使いやすい印象。
ちょっと個性的なビンディングが着いている。
変わったデザインだけど、これ、もしかしたらプロテクタービンディングってモノかしらね。
怪我予防してくれる奴。こういうのは良いね。
板はエッジグリップも穏やかで、反発も強くない。トーションはそこそこありそだ。
スピード耐性は高く、60キロレンジでは問題なし。
素直な中回り板。
ガッツリ角を立てたレーシーな滑りというよりは、ズレを伴ったカービングを主体にした滑りに適していると思う。
僕にはもう少し強さが欲しいかな。

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【Volkl Racetiger GS Master】 (178cm)

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あまりに斜面が良いので、ちょっと大回り板で滑ってみたくなった。
ザク雪の菅平では全く撓ませられなかったこの板。
長さを178にして、今日のようなコンディションではどうか知りたかった。
しかし、案の定全く撓ませられなかった。でも扱える。
ターン後半で板が走る。視界の端、景色の流れ方が明らかに変わる。
最初の1ターン、一瞬体が遅れそうになるが、板の走るタイミングが解れば体を板に付いて行かせればいい。
多少のギャップも雪溜まりも、顕になった下地の硬いバーンも、全部スキーが突破してくれる。
普段履きには向かないが、やはり大回り板は爽快だ。

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【STOCKLI LAZER SL】

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これは良い。
まさにマジックスキー。
理想の板に出会ってしまったかも。
ポジショニングはSXほどではないが、他社より2~3センチ前傾だ。
このポジショニング、好きだ。
滑り出した瞬間に、何をしたいのか・どう滑りたいのか、板が語りかけてくるような錯覚。
借りた板を履いているという感じがしない、人馬一体な感覚。何なんだこれ?と驚いてしまった。
トップの捉えはあくまで早く、ハリのある板だけれど撓んでくれて、ターンマキシマムにかけて圧のやり取りを繊細にでき、ターン後半からニュートラルではテールがシッカリと乗り手の意思を反映して仕事をし、抜け感タップリにズバッと爽快に走る。この走りが気持ちいい。
S-POTIONは走っている刹那、テールにどういう仕事をさせるか、0コンマ数秒の中でほんのわずかに意識がテールに向かうが、LASER SLはそんな僅かな意識さへ必要としない。
全ての挙動が、オートマチックとはかけ離れた、自らの意思の通りに操る中で行われる。
走って欲しいタイミングで走り、それまでは忠実に足元に留まって「その瞬間」に備えてくれる。
TC-Sは「その瞬間」を意識させる事なく全てがシームレスに行われるが、LASER SLは「その瞬間」を存分に楽しませてくれる。
安定した強い足場感と、機敏な反応。
そのくせ気難しいところや神経質なところが全くない。だから2級位からも扱え、プライズ保持者も余裕で受け止めてくれる懐の深さがある。
ショートターンベースだが、ロングターンまで難なくできる。「ターンを引っ張る」という意識は必要なく、大きく回り大きく走るという意識だけで、普通に大回りができる。
しかもかなり内傾角出せる。
当然キレキレのカービングショートもできる。
テールが細いので、コブでも取り回しが効く。
汎用性、メチャクチャ高い。
まぁ、この28万円の板をコブで使うには、勇気がいるだろうけど・・・。
強さとしなやかさを高次元で両立させた、良い板だわぁ。

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【ATOMIC Redster S9i】

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人気板。
殆ど出払っていて、会場に出ている事すら気づかなかった。
菅平で乗ったX9が調子良かったので、ちょっと乗ってみたかったのよね。
X9は板に粘りがあってシルキーな乗り味がしたけれど、S9iはそうでもなくて、もっとカジュアルな感じがする。
全体に軽快な乗り味で、シットリとドライの中間的な味付け。オガサカのケオッズに似てる。
挙動がスマートで、板が走って体が遅れるという事もなさそうだ。
それにしても、アトミックってこんな感じだったっけ?
もっと板自体が手強い印象があったけど、とても使いやすく取り回しがいい。
ターン孤も思いのまま。素直で乗りやすい。
けど、もう一つ薄味な感じがして、もう一味あっても良い気がする。
そういう意味では、プライズ持ってる人は一つ上のS9i Proなんだろう。


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【オガサカ KS-XX】

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3年継続しているモデル。
硬い。
板全体が硬くて、むしろ足元よりトップとテールの硬さが際立つ。
本気で踏み込めば少し撓むけど、反発が早くてタイミングが合わない。
なので直線的な滑りになる。
直線的になるけど、Racetiger GS Masterほどの安定性がない。
何つーか、硬いからこそトップが跳ねるような印象があって、振動吸収性や粘り・突破力といった部分が薄く感じて、もう一つ安心して体を預けられない。
「しなやかだけど強い」とか、「強さの中にしなやかさがある」とか、そういう板が好きなんだけれど、これは強さはあるがしなやかさがない感じがした。

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以上、合計11本も借りてしまった。
自分の板も含め28本もリフトに乗り、42キロも滑ってしまった。

ブランシュ営業時間終了。
天気も良く、斜面もサイコーで、たくさん滑って心地よい疲れの黄昏時。
コーヒー飲みながら考える。

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今回、一番よかったのはストックリーのLaser SL。
二番手がブルーモリスのS-Potion Ltdと、オガサカのTC-Sが同率で並ぶ。
前回気に入っていたHEADのe-Race proは、上記の3機種に試乗したあと、
もう少しシャープさが欲しいと感じ、三番手となった。
Racetiger GSを借りたかったけど、ラインナップされてなかった。

ストックリ、ブルーモリス、オガサカ、いいお値段します。
良いものはそれなりの金額するのも仕方ない。
しかし、物の値段は上がってもフリーランスの収入は上がらない。

さてどうしたものか・・・。


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